イソップ「三人の商売人」2023年06月29日

イソップ「三人の商売人」楠山正雄訳

 或る町の住民が集(あつま)つて、町の防備をするために外廓(そとぐるわ)を築く相談をして、就(つ)いては材料には何を使つたら一番堅固にでき上がるだらうといふ話になつた。
 その時、大工は立ち上がつて、それは材木に限ります、容易に手に入れることができて、工事が楽に捗(はかど)りますと云つた。すると石屋が立つてこれに反対し、材木は直(ぢ)きに火事で焼けやすい、これは石に限りますと云つた。最後に、此度(こんど)は柔皮師(なめしがはし)が起立して云つた。
「私の意見に従へば、柔皮(なめしがは)ほど徳用な物は何もありませぬ」

【訓言】我田引水。