第八十一段の続き(の・ようなもの)の続きのようなもの ― 2022年03月19日
・「目で読む為の文章」と「耳で聞く為の台詞」に関して。
TVドラマ『相棒 season3』に「書き直す女」と言うエピソードがある。第17話だったが、1本欠番になってしまったので現在は実質第16話。
脚本家が書いた台詞を、勝手にどんどん書き直す大物女優の話。この中に「へー」と思う機械的なトリックが使われていた。まあ、こう言うハイカラな伴天連の「えれきてる」に依るからくり仕掛けは、筆者の棲息するような古色蒼……いや、その、古式ゆかしい建築物には無縁の equipment だが。ちなみに、屋根にペンペン草は生えていない。
・「ジェノサイド」という言葉が矢鱈に飛び交っている事に関して。
トーマス・M・ディッシュ(Thomas Michael Disch、1940年-2008年)の『人類皆殺し(The Genocides)』(1965年)という物騒な題名のSFを連想せざるを得ない。なにしろ、そのまんまのタイトルである。
尤も、この作家には『いさましいちびのトースター(The Brave Little Toaster)』(1980年)及び続篇の『いさましいちびのトースター火星へ行く(The Brave Little Toaster Goes to Mars)』(1988年)と言う「ほのぼのファンタジーSF(?)」もある。いずれも「積ん読本」として家のどこかにある筈だ。アニメ映画にもなっているらしい。
今ウィキペディアで確認したら、グリム童話の「勇ましいちびの仕立て屋」から題名を拝借したそうだ。この記事では「邦題は」となっているが、グリム童話の英訳題も「The Brave Little Tailor」である。現在手許にあるヴァージョンの邦題は「いさましいちびっこのしたてやさん」。これは子供の頃読んだ記憶がある。子供向けの文学全集にセレクトされる位だから知名度は高い方だろう。やはり、ちょっとした話が伝言ゲームのようにどんどん膨らんで、やがて引っ込みが付かなくなる話だったと思う。「古今東西よくある事」と言う訳か。いやはや。
何だかこの振幅は、ロアルド・ダール(Roald Dahl、1916年-1990年)を思わせるものもある。一方に短篇集『あなたに似た人(Someone Like You)』(1953年)があり、一方に『チョコレート工場の秘密(Charlie and the Chocolate Factory)』(1964年)がある。『あなたに似た人』に収められている「南から来た男(Man from the South)」は、高校で使った英語の副読本にあった。当時は面白かったが、大人になってみると、よく高校生のサブ・リーダーに使ったものだと思わぬでもない。まあ、高校生が面白かったという事は、作品の選択は適切だったと言うことか。