第八十七段 ― 2022年04月14日
藤子不二雄Ⓐ(安孫子素雄)氏が亡くなった。
手塚治虫『ジャングル大帝』のアシスタントをした事が生涯の自慢だったようだ(手塚も全集版の「あとがき」で触れている)。最終回の作画中、手塚がチャイコフスキーの『交響曲第6番第4楽章』を大音量で仕事場に流していたとの事。まさしく「悲愴」な気分に浸りつつ、ひたすら作業を進めたそうだ。
原稿をアクシデントで失ったこともあり、単行本が新しく出るたびに判型に合せる必要もあって、複数のヴァージョンが存在する。筆者の手許にある講談社の全集版と小学館の漫画少年版もオープニングからして異なるが、エンディングはほぼ同じ。そこで、ふと思ったこと。
どのヴァージョンにせよ、漫画版『ジャングル大帝』を最後まで読んだ人が、どれだけいるんだろう?
手塚自身が「あまりいないかも知れない」と書いている。
・補足(4月20日)
『ジャングル大帝』とは、謂わばアフリカ大陸を主な舞台とした『楡家の人びと』の白いライオン版のような物語である……かなり大雑把な言い方だが。