第十七段2021年10月01日

ある作家の書簡より。

「(彼の作中人物)と私が上流階級の人間(upper classes)を軽蔑しているのは彼等が身ぎれいだからでも金持だからでもありません。彼等がまがいものだからです」("we despise them because they are phony.")

そう言えば、アイザック・アシモフ(Isaac Asimov、1920年-1992年。より発音に近い表記を試みれば「アジモヴ」)にも『Ph は Phony の Ph』なんていう博士号(Ph. D.)に関する短篇ミステリーがあったような。

第十八段2021年10月03日

漱石の『坊っちやん』(表記は原稿の指示に基づく)が発表されたのは1906年だが、一世紀以上を経た今日(こんにち)でも、この一人称の文体模写を試みる人間は雨後竹のようだ。

…そのうち何人が原作を読んでいるのかは知らないが…。

第十九段2021年10月04日

CMで懐かしい曲が流れていた。

・「クール・ストラッティン(Cool Struttin')」原曲は同名アルバム(1958年)所収。ソニー・クラーク(Sonny Clark、1931年-1963年)作。
・「トルコ風ブルー・ロンド(Blue Rondo a la Turk)」原曲はアルバム『タイム・アウト(Time Out)』(1959年)所収。デイヴ・ブルーベック(Dave Brubeck、1920年-2012年)作。

ソニー・クラークはともかく、デイヴ・ブルーベックの著作権は存続しているはずだが。どうせ楽曲使用料を払うなら、同アルバムからポール・デズモンド(Paul Desmond、1924年-1977年)作曲の「テイク・ファイヴ(Take Five)」の方が有名だろう。有名すぎて使われすぎてるという感もあるが。

第二十段2021年10月05日

朝日の如く優しげな楽曲占い。

・『ソニー・クラーク・トリオ(Sonny Clark Trio)』(1958年)ヴァージョンがお好きな人。
洗濯は晴れた日に行うのが好いでしょう。できれば屋外に干した方が紫外線による殺菌効果も期待できます。取り込むのはお早めに。

・『ケリー・ブルー(Kelly Blue)』(1959年)ヴァージョンがお好きな人。
雨の日の外出は控えた方が良いでしょう。どうしても出掛けなければならない場合は、傘か雨合羽をご用意ください。特に傘の場合、置き忘れにご注意。

第十九段(承前)2021年10月06日

そう言えば、「Cool Struttin'」もFのブルーズだった。チャーリー・パーカー(Charlie Parker、1920年-1955年)の「Now's the Time」もそうだが、やはりCやBbよりFのブルーズの方が色々な移調楽器同士でセッションしやすいようだ。

デイヴ・ブルーベックに関して言えば、ときどきアルバム『タイム・ファーザー・アウト(Time Further Out)』(1961年)所収の「アンスクエア・ダンス(Unsquare Dance)」も、AMやFMやTVで流れることがある。初めて聴いたのは、1970年代、FM東京の番組テーマ曲としてだった。MCをつとめていたケン田島さんも今年亡くなったようだ。「あなたの heart を charm する~」というナレーションが懐かしい。
さらに思い起せば、前後の時間帯に『あいつ』という連続朗読ラジオドラマ(?)があった。作:矢作俊彦、朗読:日下武史という豪華メンバーである。テーマ曲は、映画『狙撃者(Get Carter)』(1971年)のテーマ。こちらの主演はマイケル・ケイン(Michael Caine)。当時はまだ「Sir」では無かった。