徒然草 第五十五段(再掲) ― 2024年08月02日
家の造りやうは夏を旨とすべし。冬は如何なる所にも住まる。あつき頃、わろき住居(すまひ)はたへがたき事なり。
深き水は涼しげなし。浅くて流れたる、遙かに涼し。こまかなる物を見るに、遣戸(やりど)は蔀(しとみ)の間(ま)よりも明し。天井の高きは、冬さむく燈火くらし。造作は、用なき所を造りたる、見るも面白く、万の用にも立ちてよしとぞ、人の定めあひ侍りし。
橘純一校註
湿度が高い日本の、しかも京都の盆地気候では、むべなるかなである。
「冬はどこでもいい」とは、やや過言だろう。
・余談(10日)。
おそらく執筆の時季は真夏だろう。暑さに対する苛々を端的に著している。