第六十一段 ― 2022年01月26日
「ロシア」「歌」からの連想。
ムソルグスキー(1839年-1881年)に『蚤の歌』と言う歌曲がある。キリル文字は目に一丁字も無いので読み書き出来ない。所謂、もんも……ランシーなんて名の犬もいる(『ボートの三人男(Three Men in a Boat)』1889年)。
元になった詩はゲーテの『ファウスト 第一部』よりメフィストフェレスの歌。
昔々王がゐた。
大きな蚤を持つてゐた。
自分の生ませた子のやうに
可哀がつて飼つてゐた。
或る時服屋を呼んで來た。
服屋が早速遣つて來た。
「此若殿の召すやうな
上衣(うはぎ)とずぼんの寸を取れ。」
森林太郎(鷗外)訳。
この後、勲章なども与える。同じ題材でベートーヴェンやベルリオーズなど複数の作曲家が歌曲を書いているらしいが、ムソルグスキーの作しか知らない(音楽の授業で聴いた)。
カウント・ベイシー楽団に「魔法の蚤(Magic Flea)」という曲がある(アルバム『Basie Straight Ahead』所収)。作・編曲はサミー・ネスティコ(Sammy Nestico、1924年-2021年)。この「flea」を、「free」「flare」と混同している人も結構いるようだ。
なお、「蚤の市(フリー・マーケット)」は英語の「flea market」の直訳であり、「free market」の意ではない。
「蚤のサーカス」なんて見世物も存在する。
ちなみに、こんな曲もある。
階名での歌唱を乞う。