第六十段(承前)2022年01月23日

今度は脚本に関して。
スター・トレックの脚本を執筆した作家も一人二人では無いようだ。名を知ってる作家のみ。

・リチャード・マシスン(Richard Matheson、1926年-2013年)。シーズン1『二人のカーク(the Enemy Within)』。
・ロバート・ブロック(Robert Bloch、1917年-1994年)。シーズン1『コンピューター人間(What Are Little Girls Made Of?)』シーズン2『惑星パイラスセブンの怪(Catspaw)』『惑星アルギリスの殺人鬼(Wolf in the Fold)』。
・シオドア・スタージョン(Theodore Sturgeon、1918年-1985年)。シーズン1『おかしなおかしな遊園惑星(Shore Leave)』シーズン2『バルカン星人の秘密(Amok Time)』。
・ハーラン・エリスン(Harlan Ellison、1934年-2018年)。シーズン1『危険な過去への旅(the City on the Edge of Forever)』。
・ノーマン・スピンラッド(Norman Spinrad)。シーズン2『宇宙の巨大怪獣(the Doomsday Machine)』。


原作として使用。

・フレドリック・ブラウン(Fredric Brown、1906年-1972年)。シーズン1『怪獣ゴーンとの対決(Arena)』。
短篇集『スポンサーから一言(Honeymoon in Hell)』(1958年刊)所収。訳題は「闘技場」。設定はほぼ原作を踏襲しているが、オチが異なる。スター・トレックらしいと言うか、ジーン・ロッデンベリー(Gene Roddenberry、1921年-1991年)らしい結末である。

スター・トレックは、ファンのみならずSF作家からの評価も高い事で知られる。シーズン1放映時、裏番組が強く(その中に『奥様は魔女(Bewitched)』もあった)視聴率的に苦戦し打切りが検討されている時、放映していたNBCに番組継続を求める投書が多く寄せられたらしい。その中には数々のSF作家の名もある。
既出の名以外では、ポール・アンダースン(Poul Anderson、1926年-2001年)、レスター・デル・レイ(Lester del Rey、1915年-1993年)、フィリップ・ホセ・ファーマー(Philip Jose Farmer、1918年-2009年)、フランク・ハーバート(Frank Herbert、1920年-1986年)、A・E・ヴァン・ヴォークト(Alfred Elton van Vogt, 1912年-2000年)など。

・追記(24日)

またもや重要な作家を落としていた。
アイザック・アシモフである。
科学エッセイ集『生命と非生命のあいだ(Is Anyone There?)』(1967年刊)所収の「現実の中への逃避」で『宇宙大作戦(宇宙パトロール、TOS)』に関して触れ(文中の番組名邦訳は『星の遍歴』)、「この中ではSFが真面目に取り扱われている」と記している。
『Dr.アシモフのSFおしゃべりジャーナル』という凄まじい訳題のエッセイ集(原題は『Asimov on Science Fiction』1981年刊)でも複数の章でスター・トレックに触れている。中でもミスター・スポックを擁護する文章(「なぜか悪者にされる科学者」)が面白い。さらに『劇場版スター・トレック(Star Trek: The Motion Picture)』(1979年)に関して幾つかの助言をした結果、「Special Science Consultant」としてエンドロールに名がクレジットされた事を誇らしげに書いている。
後日談として、『新スター・トレック(TNG)』のレギュラーであるアンドロイドのデータ少佐(Lieutenant Commander Data)は、「アシモフ博士」が考案した陽電子頭脳(positronic brain)を搭載していると言う設定。

もうひとり重要な作家を。
レイ・ブラッドベリである。
ブラッドベリが米国の特撮監督レイ・「コマ撮り」・ハリーハウゼン(Ray Harryhausen、1920年-2013年)と高校からの友人である事は有名だが、スター・トレックを作ったジーン・ロッデンベリーとも友人で、スター・トレックの脚本も頼まれていたが執筆には至らなかったらしい(理由は不明)。『劇場版スター・トレック』の撮影現場をブラッドベリが見学(?)している映像を観た記憶があるが、例によって確信は無い。


……それにしても「しろうるり」って、何だろう……。