第一段 ― 2021年09月02日
三方一兩損
爰(こゝ)に靈岸島長崎町(れいがんじまながさきちやう)に疊屋三郞兵衞(たゝみやさぶろべゑ)と云ふ者あり、此(この)三郞兵衞(さぶろべゑ)は正直一偏(しやうぢきいつぺん)にて禮儀(れいぎ)も知らず、追從輕薄(ついしようけいはく)と云ふ事もなく、只(たゞ)職業一三昧(しよくげふいつさんまい)と心懸(こゝろが)けし男なるが、師走(しはす)の事にて物入(ものいり)多ければとて、和泉橋邊(いづみばしへん)の出入場(でいりば)へ行き、金子三兩(きんすさんりやう)借請(かりう)け大(おほい)に喜び、紙入(かみいれ)の中に有りし手紙に包みて、急ぎ我家(わがや)へ歸(かへ)り、彼金(かのかね)を出さんとせしに金のあらざれば大(おほい)に驚き、袂(たもと)を振(ふる)ひ帶(おび)まで解(と)きて探せども一向(いつかう)に無し。依(よつ)て女房(にようばう)娘(むすめ)も大(おほい)に惘(あき)れ、當惑(たうわく)すれども詮方(せんかた)なく、三郞兵衞(さぶろべゑ)は力を落し、よくよく貧乏神に取付(とりつ)かれしと見えたり、此上(このうへ)は稼ぐより外(ほか)に分別なしと斷念(あきら)め、夫(それ)より夜(よ)の眼(め)も寢ずに丹精(たんせい)をなし居(ゐ)たり。茲(こゝ)に小傳馬町(こでんまちやう)に建具屋長十郞(たてぐやちやうじふらう)と云ふ者あり、此(この)長十郞(ちやうじふらう)至つて情深(なさけぶか)き者なるが、所用(しよよう)有りて三味線堀(さみせんぼり)へ行き、歸(かへ)り掛(がけ)に柳原(やなぎはら)の土手下(どてした)にて小便せんとするに、傍(かたはら)に何やらん反古(ほご)に包みたる物有り、合點(がてん)行(ゆ)かずと取上(とりあ)げ見るに、小判三枚ありしかば甚(いた)く驚き、此(この)節季師走(せつきしはす)に三兩と云ふ金を落せし人は嘸々(さぞさぞ)困るならん、誰(たが)落(おと)せしぞと熟(よくよく)見るに、疊屋三郞兵衞樣(たゝみやさぶろべゑさま)とある手紙に包んで有れば此人(このひと)の金なるべし、下の名宛(なあて)は尋ねるに及ばず、鬧(いそが)しき折(をり)なれども、落主(おとしぬし)を探し求めて返さんものと、其日(そのひ)は神田邊(かんだへん)より通町京橋邊(とほりちやうきやうばしへん)、翌日は下谷淺草本郷湯島邊(したやあさくさほんがうゆしまへん)、三日目は麹町赤坂青山芝(かうぢまちあかさかあをやましば)の邊(へん)と歩行(ある)き廻り、疊屋と見れば家に入りて尋ねしに、三郞兵衞(さぶろべゑ)と云ふ疊屋(たゝみや)一兩人(いちりやうにん)あれども、金子(きんす)を落したる覺(おぼえ)なしと云ふ故(ゆゑ)、長十郞(ちやうじふらう)は困り果て、是非尋ね出すべしと、毎日々々(まいにちまいにち)股引草鞋腰辨當(もゝひきわらぢこしべんたう)にて出掛(でか)けし故(ゆゑ)、家内(かない)の者は打笑(うちわら)ひ、「世間では金を拾ひて徳をせしと悦(よろこ)べど、此方(こなた)は夫(それ)と違ひ、金子(きんす)を拾ひ、却(かへ)つて日を費し、商賣(しやうばい)もせず小遣(こづかひ)を遣ひて尋ね歩くとは、扨々(さてさて)無益(むえき)の骨折損なり」と云ふを耳にも入れず、日々(ひゞ)此事(このこと)のみに掛(かゝ)りける。斯(か)くて建具屋長十郞(たてぐやちやうじふらう)は、四日目(よつかめ)八丁堀靈岸島(はつちやうぼりれいがんじま)の邊(へん)を探し廻りしに、長崎町(ながさきちやう)に一軒の疊屋あり、立寄(たちよ)りて、「三郞兵衞樣(さぶろべゑさま)と申(まう)すは此方(こなた)で御座るか」と聞くに、四十歳ばかりの男立出(たちい)で、「私が三郞兵衞(さぶろべゑ)なるが、何の御用にて尋ねらるゝや」と聞いて長十郞(ちやうじふらう)腰を掛け、「貴殿(おまへさん)は何ぞ落し物は成されぬや」と云ふに、三郞兵衞(さぶろべゑ)は考へて居(ゐ)る中(うち)に、女房勝手より出來(いできた)り、「四五日跡に金を落したでは無いか」と申すに、三郞兵衞(さぶろべゑ)思ひ出(いだ)し、「如何(いか)にも金子三兩落したり」と云へば、長十郞は大(おほい)に悦びつゝ店先へ上(あが)り、「扨(さて)貴殿(おまへさん)で有つたか、其金(そのかね)は私が拾ひ取りたり。落人(おとして)は此(この)節季(せつき)に嘸(さぞ)御難儀(ごなんぎ)で有らうと存じ、金子を返さんとて、今日迄四日尋ね歩行(ある)きしに、漸々(やうやう)探し當(あた)つて重疊々々(ちようでふちようでふ)。率(いざ)請取(うけと)り給(たま)へ」と指出(さしいだ)すを、三郞兵衞(さぶろべゑ)、「否々(いないな)我等は落す程の不仕合(ふしあはせ)、貴殿(おまへさん)は拾ふ程の果報あり、返すに及ばず、貴殿(おまへ)の徳分(とくぶん)に爲給(したま)へ」とて受取(うけと)らねば、長十郞膝を進め、「能(よ)く能(よ)く聞かれよ。私は小傳馬町建具屋長十郞(こでんまちやうたてぐやちやうじふらう)と申す者、此間(このあひだ)柳原(やなぎはら)を通り、不圖(ふと)目に懸(かゝ)りて拾ひ見るに、三兩の金を手紙に包んであり、其(その)手紙に疊屋三郞兵衞樣(たゝみやさぶろべゑさま)とあるを證據(しようこ)に今日(けふ)まで四日の間(あひだ)渡世(とせい)を休み、日々(ひゞ)小遣を遣ひ、飛脚同前(ひきやくどうぜん)に貴殿(おまへ)を尋ねるは、此金(このかね)を返して進(しん)ぜたいばかり。此志(このこゝろざし)を推量(すゐりやう)ありて御遠慮なく受取(うけと)り給(たま)へ」と云ふに、三郞兵衞(さぶろべゑ)得心(とくしん)せず、「段々(だんだん)樣子(やうす)を承(うけたまは)れば、尚(なほ)さら請取(うけと)る事(こと)叶(かな)ひ難(がた)し。商賣(しやうばい)を休み小遣を遣ひ尋ねられし事、實(じつ)に氣(き)の毒(どく)千萬(せんばん)、三兩の金は請取(うけと)りしも同前(どうぜん)、其許(そのもと)の徳分(とくぶん)に致されよ」と差戻(さしもど)すを、長十郞、「徳分にする心なれば貴殿(おまへ)を尋ねは致さぬ。因(よつ)て是非御渡し申す」「否々(いやいや)受取(うけと)らぬ」と爭ひ、然樣(さやう)ならば是(これ)へ置いて參る」と投出(なげいだ)すを、「なぜ人の内へ斯樣(かやう)の物を捨てゝ行く、持つて行け」と引捕(ひつとら)へるを、振放(ふりはな)さんとする腕首(うでくび)を掴(つか)み、三郞兵衞(さぶろべゑ)聲荒(こゑあらゝ)げ、「此金(このかね)持つて行かずば踏倒(ふみたふ)す」と惡口(あくこう)に及べば、長十郞も職人の事故(ことゆゑ)氣も早く、三郞兵衞が袖を捕(とら)へ、「己(おのれ)が馬鹿者(ばかもの)故(ゆゑ)、大切の金を落せしを持つて來て遣(や)るに、惡口を吐く無法者、此(この)長十郞に指でもあてると打殺(うちころ)す」と互(たがひ)に惡口して後(のち)は掴(つか)み合ひ、髻(たぶさ)を取つて大喧嘩(おほげんくわ)となりしかば、近所の者ども中に入りて段々樣子を聞くに、雙方共(さうはうとも)鼻息荒く惡口雜言(あくこうざふごん)に及び、更に理由(わけ)分らず。人々(ひとびと)種々(しゆじゆ)に云ひなだむれども、雙方(さうはう)強情(がうじやう)を言募(いひつの)り得心(とくしん)なく、後(のち)には家主(いへぬし)も來(きた)り種々(いろいろ)異見(いけん)を加ふれども聞入(きゝい)れず、遂(つひ)には雙方共(さうはうとも)名主(なぬし)の宅へ呼寄(よびよ)せ理解(りかい)を云ふに、兩人共(りやうにんとも)命に懸(か)けても此金(このかね)は取らぬと云切(いひき)るにぞ、其儘(そのまゝ)には差置(さしお)かれずと雙方名主より大岡越前守殿(おほをかゑちぜんのかみどの)へ御理解(ごりかい)を願出(ねがひい)でけるに、大岡殿(おほをかどの)聞かれて、「偖々(さてさて)珍しき事なり」と差紙(さしがみ)を以(もつ)て兩人共(りやうにんとも)呼出(よびだし)の上、大岡殿は先(まづ)長十郞が了簡(れうけん)を聞かれ、「如何(いか)にも長十郞は奇特(きどく)なる男なり。又(また)三郞兵衞は何故(なぜ)受取(うけと)らぬぞ。其譯(そのわけ)を申せ」と有(あ)る。三郞兵衞、「恐れながら申上(まうしあ)げます。私儀(わたくしぎ)は金を落す程の者なれば、元より我身(わがみ)に付かず、又(また)長十郞は金を拾ふ程の者なれば、天より授(さづか)りしと申すもの、殊(こと)に四五日渡世を休み私を尋ねて歩行(ある)きし事故(ことゆゑ)、其金(そのかね)を返して見れば、却(かへ)つて拾ひし者が損をする道理(だうり)なり。中々(なかなか)請取(うけと)る所存(しよぞん)は御座らぬ」と申立(まうした)つるにぞ、大岡殿、「如何樣(いかさま)雙方共(さうはうとも)に言分(いひぶん)道理(もつとも)なり。然(しか)らば追つて呼出(よびいだ)す」との事に、其日(そのひ)は町役人共(ちやうやくにんども)同道(どうだう)して下りける。三四日過ぎて雙方呼出され、此日(このひ)は金銀出入(きんぎんでいり)、家督論(かとくろん)、引負(ひきおひ)、持參金取返(ぢさんきんとりかへ)し、其外(そのほか)盜賊一件の者共(ものども)數多(あまた)相竝(あひなら)ぶ中へ、長十郞、三郞兵衞の兩人(りやうにん)罷出(まかりい)づるに、大岡殿(おほをかどの)大聲(たいせい)にて、「世間には欲心(よくしん)深き者(もの)左右(とかく)欲情(よくじやう)の出入(でいり)をなす事(こと)恥ケ敷事(はづかしきこと)ならずや。然(しか)るを其方共(そのはうども)、一人は落せし金を拾ひ、渡世(とせい)を休み落主(おとしぬし)を尋ね相渡(あひわた)す眞實(しんじつ)、一人は落した上は拾主(ひろひぬし)の物なりとて受取(うけと)らず、剩(あまつさ)へ其事(そのこと)を言募(いひつの)り喧嘩に及ぶ條(でう)、正直過ぎる故なり。越前守(ゑちぜんのかみ)當役(たうやく)を蒙(かうぶ)りし以來、斯(かゝ)る出入(でいり)は始めてにて、某(それがし)も悦(よろこば)しく思ひ、右の段(だん)上(かみ)へ言上(ごんじやう)に及ぶ處(ところ)、御上(おかみ)に於(おい)ても殊(こと)の外(ほか)御滿足(ごまんぞく)に思召(おぼしめ)し、三兩の金(かね)をば御金藏(ごきんざう)に納められ、別に三兩(さんりやう)其方共(そのはうども)に下さるゝにより、有難く頂戴(ちやうだい)仕(つかまつ)れ。尤(もつと)も長十郞は拾主(ひろひぬし)なれば二兩の金を頂戴致せ、又(また)三郞兵衞も二兩戴き、雙方一兩づつ損を致せ。其金(そのかね)は汝等(なんじら)が金に非ず、公儀(こうぎ)より下さるゝ御金なれば辭退(じたい)致すな」と申渡(まうしわた)さるゝに、兩人はハツと頭(かしら)を下げ涙を流し、「有難く存じ奉(たてまつ)り頂戴は仕(つかまつ)るべく候(さうら)へども、御公儀樣(ごこうぎさま)より三兩下され候(さうらふ)上(うへ)は、一兩二分づつ分け申すべく處(ところ)、二兩づつ戴き候(さうらふ)儀(ぎ)一兩の出處(でどころ)相知(あひし)れ申さず、恐れながら御請申上難(おんうけまうしあげがた)し」と申すを、「偖々(さてさて)六ケ敷(むつかしく)吟味(ぎんみ)をする者共(ものども)かな。其方共(そのはうども)の正直(しやうぢき)此(この)越前(ゑちぜん)も悦(よろこび)の餘(あまり)、我も一兩出して遣(つかは)したり。長十郞は三兩拾ひて二兩取る故(ゆゑ)一兩の損、三郞兵衞は三兩落して二兩取る故(ゆゑ)是(これ)も一兩の損、我も一兩損、三人一兩づつの損なり」と申渡(まうしわた)されければ、皆々感じ入りて事(こと)落着(らくちやく)に及び、其後(そののち)長十郞、三郞兵衞無二の入魂(じゆこん)に成りたるは、越前守殿(ゑちぜんのかみどの)の仁知(じんち)に因(よ)れり。然(さ)れば世に一兩損(いちりやうぞん)の御捌(おさばき)と申敢(まうしあへ)りしとぞ。
※用字に責任は負えません。
第二段 ― 2021年09月03日
近頃ニュースを見聞きするたびに浮かぶ曲。
TVドラマ『ベン・ケーシー(Ben Casey)』(1961年-1966年、米)テーマ曲。
TV特撮ドラマ『光速エスパー』(1967年-1968年)テーマ・ソング。
TV特撮ドラマ『怪奇大作戦』(1968年-1969年)エンディング・テーマ・ソング「恐怖の町」。
TVアニメ『宇宙戦艦ヤマト』(1974年-1975年)テーマ・ソング(COVID-19のワクチンなどに関して)。
TV人形劇『サンダーバード(Thunderbirds)』(1965年-1966年、英)テーマ曲(日本語版テーマ・ソング含む)。
TVドラマ『ベン・ケーシー(Ben Casey)』(1961年-1966年、米)テーマ曲。
TV特撮ドラマ『光速エスパー』(1967年-1968年)テーマ・ソング。
TV特撮ドラマ『怪奇大作戦』(1968年-1969年)エンディング・テーマ・ソング「恐怖の町」。
TVアニメ『宇宙戦艦ヤマト』(1974年-1975年)テーマ・ソング(COVID-19のワクチンなどに関して)。
TV人形劇『サンダーバード(Thunderbirds)』(1965年-1966年、英)テーマ曲(日本語版テーマ・ソング含む)。
・追記。
現首相が自民党総裁選に出馬断念の報を受け、聞こえてきた曲。
TVアニメ『どろろ』(1969年版)テーマ・ソング。
……まぁ、選挙のたびに脳内を流れるのですが。
第三段 ― 2021年09月04日
・和製紋切型辞典(私家版・試作中・順不同)
【鰻屋】なぜか暖簾に「うふぎ」と書いてある。
【泥鰌屋】なぜか店内メニューに「どぜうけ」と書いてある。「どぜう」は「どぢやう」の慣習的な誤記または水商売にありがちな忌み言葉(?)を避けたと思われるが、「け」の意味が不明。
【蕎麦屋】なぜか暖簾に「きそむ」と書いてある。なお、店内で「ウドンウドンウドン」などと大音声で歌いながら踊ってはいけない。
【方言(dialect)】そのローカル・コミュニティ内限定の言語。ゆえにそれ以外の他人には通用しない。あたぼうである。
【お国ことば(vernacular)】「国籍」とは無関係の場合もある。実際の出生地の言葉とも限らない。Got it?
【総領】第1子。長子。「総領娘」「総領息子」。 →【一姫二太郎】【総領の甚六】を参照。
【自分(myself)】話者自身を表す一人称代名詞。最初に「御」を付けて尊称の二人称として使用する場合もある。
【インタヴュイー(interviewee)】被会見者。会見者は「インタヴュアー(interviewer)」。
【デビュー(debut 仏)】 →【レヴュー(review)】【レヴュー(revue 仏)】【デジャ・ヴュ(deja vu 仏)】を参照。
【タロとジロ】人間が南極大陸に持ち込んだ外来種の害獣。在来種の生態系に多大な損害を与えたと考えられている(法廷で証言できる目撃者は存在しない。粛清されたためかは不明)。小説『探検隊』(星新一)や、漫画『裏町裏通り名画館』(藤子・F・不二雄)の題材となった。人間で言えば、戦時中「疎開」の名目で農村に送り込まれた都会人のようなもの。
【泥鰌屋】なぜか店内メニューに「どぜうけ」と書いてある。「どぜう」は「どぢやう」の慣習的な誤記または水商売にありがちな忌み言葉(?)を避けたと思われるが、「け」の意味が不明。
【蕎麦屋】なぜか暖簾に「きそむ」と書いてある。なお、店内で「ウドンウドンウドン」などと大音声で歌いながら踊ってはいけない。
【方言(dialect)】そのローカル・コミュニティ内限定の言語。ゆえにそれ以外の他人には通用しない。あたぼうである。
【お国ことば(vernacular)】「国籍」とは無関係の場合もある。実際の出生地の言葉とも限らない。Got it?
【総領】第1子。長子。「総領娘」「総領息子」。 →【一姫二太郎】【総領の甚六】を参照。
【自分(myself)】話者自身を表す一人称代名詞。最初に「御」を付けて尊称の二人称として使用する場合もある。
【インタヴュイー(interviewee)】被会見者。会見者は「インタヴュアー(interviewer)」。
【デビュー(debut 仏)】 →【レヴュー(review)】【レヴュー(revue 仏)】【デジャ・ヴュ(deja vu 仏)】を参照。
【タロとジロ】人間が南極大陸に持ち込んだ外来種の害獣。在来種の生態系に多大な損害を与えたと考えられている(法廷で証言できる目撃者は存在しない。粛清されたためかは不明)。小説『探検隊』(星新一)や、漫画『裏町裏通り名画館』(藤子・F・不二雄)の題材となった。人間で言えば、戦時中「疎開」の名目で農村に送り込まれた都会人のようなもの。
【北方領土】「未決・先送り」という付箋のためにのみ存在する。同様の案件多数。
・追記(9月17日)。ロシア側からは「外貨獲得の道具」であったが、「日本円」を見限ったのか、ターゲットを他国の通貨まで拡大したようだ。
・再追記(9月18日)。このぶんでは、「北方領土」にロシアの資源開発基地か海軍基地が建設されるのも、そう遠くはないかもしれない。…某アジアの大国に倣って。
【解散・総選挙】与党の与党による与党のためのお祭り騒ぎ。八百屋の店主やポン引きも真っ青のダミ声が飛び交う。それにしても、もう少し音質の良いスピーカーは無いものであろうか。アンプの問題かも知れないが。
第四段 ― 2021年09月06日
世界的なイヴェントであるパラリンピック閉会。
が、開催地である日本の政治家のみなさんはそれどころじゃないらしい。
「この世で一番かんじんな~のは党利と党略~」
…これじゃ、故・坂本九さんも歌いづらかろう。
まことに、――欣幸の至りに堪へない。
第五段 ― 2021年09月08日
"All art constantly aspires towards the condition of music."
「すべての芸術は音楽たらんと冀う」(試訳)
――『ルネサンス』ウォルター・ペイター。
「すべての芸術は音楽たらんと冀う」(試訳)
――『ルネサンス』ウォルター・ペイター。
・和製紋切型辞典(私家版・試作中・順不同)
【キー(key)】調。鍵盤(keyboard)の盤(board)では無い方。一般的に、キーそのものに高低の概念は無いが、主に増四度(減五度)近辺を目安として、しばしば「音域、声域(range)」の代替語として用いられる。
【ピッチ(pitch)】音の高さ。音高。意識的に上げたり下げたり、無意識的に上がったり下がったりする。
【メートル(metre 仏)】SI基本単位の一つ。光が真空中を2億9979万2458分の1秒間に進む長さ。無論、上下しない。
【移調(transposition)】楽曲全体を別の調に平行移動すること。瞬間移動(teleportation)では無い。が、必要に迫られて瞬時に移調せねばならぬ場合もある。
【転調(modulation)】楽曲の途中で調を変えること。著名な例としてミッチ・ミラー合唱団(Mitch Miller and the Gang)の歌う、映画『史上最大の作戦(The Longest Day)』(1962年)主題歌(作詞・作曲ポール・アンカ Paul Anka)がある。この曲の場合、ハ長調(C major)で始まり長三度下の変イ長調(A♭ major)に転調して終る。別の著名な例では、TV西部劇『ローハイド(Rawhide)』(1959年-1965年)主題歌(作詞:ネッド・ワシントン Ned Washington、作曲:ディミトリ・ティオムキン Dimitri Tiomkin、歌:フランキー・レイン Frankie Laine)のレコード・ヴァージョンがある。この場合、1コーラス目はホ短調(E minor)で、2コーラス目は短二度上のヘ短調(F minor)に転調する。え、どちらの曲もご存じない? こりゃまた失礼しました。ナウいヤングにマッチする楽曲を挙げると、TV特撮ドラマ『ウルトラマンタロウ』主題歌(作詞:阿久悠、作曲:小林亜星、歌:武村太郎・少年少女合唱団みずうみ)の場合、コーラス部の構成自体がヘ短調→ヘ長調という同主調に転調する。このパターンは日本のTV番組曲に多く、作曲者自身TVアニメ『科学忍者隊ガッチャマン』主題歌(歌:子門真人、コロムビアゆりかご会)で、ハ短調→ハ長調という同主調転調を用いている。え、こちらの両曲もご存じない? あ、そう。
【変調(modulation)】ウィキペディアに依れば「電気通信において、基本信号(搬送波)に対して、その振幅、周波数、位相などを変化させること」だそうである。あまりこういう慣れない事を考えると体調に変調を来すおそれがある。
【絶体温感(absolute body temperature feelin')】摂氏マイナス273.15(華氏マイナス459.67)度に於ける体感温度。水木しげるに依れば、悪魔メフィストフェレスは周囲をこの温度にする魔力を有している。ゲーテに依れば、19世紀頃までは彼(?)にこの能力は無かったようだが、20世紀になって悪魔も進化したらしい(『The Voyage of the Space Beagle』A. E. van Vogt, 1950年)。
【打弦楽器(struck string instrument)】張られた弦を打つことにより楽音「など」を発する楽器。ツィンバロン、ダルシマー、ピアノ、サントゥール、エトセトラ。→【撥弦楽器】【擦弦楽器】を参照。
【弦打楽器(percussion with strings)】弦のある打楽器。でんでん太鼓など。
【全音音階(wholetone scale)】TVアニメ『鉄腕アトム』(第1作)主題歌(作詞:谷川俊太郎、作曲:高井達雄)の序奏部(introduction)。「全音階(diatonic scale)」とは異なる。
【半音階(chromatic scale)】TVアニメ『鉄腕アトム』(第1作)主題歌のコーラス部(リフレイン部)で、1小節目から2小節目(4/4拍子の場合)の「を越えて=ミファ[ファ#]ソ」の所。なお、階名表記は移動ド。
【ブルー・ノート(blue note)】TVアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』(第1作)の主題歌(作詞:水木しげる、作曲:いずみたく)の「ゲッ・ゲッ・ゲゲゲのゲ~」の最後の「ゲ」の音。全音階(diatonic scale)のうち、全音階的音程(diatonic intervals)を四分音(quarter tone)から半音(semitone)ほどズラした音。どの音をどれくらいズラすかは、経験則に依る基準(のようなもの)もあるが、最終的にはカラスの…もとい、個人の勝手である。
【ブルース(blues)】より発音に近く表記すれば「ブルーズ」(複数形を表す「s」の前が無声音では無いため)。基本的に12小節を1コーラスとした楽曲。代表曲に、『Rock Around the Clock』、TVアニメ『ひみつのアッコちゃん』(第1作)エンディング・テーマ『好き好きソング』(作詞:井上ひさし・山元護久、作曲:小林亜星)などがある。
おそらく最も基本的なコード進行は以下のとおり。
|I7|I7(or IV7)|I7|I7|
|IV7|IV7|I7|I7|
|V7|IV7|I7|I7|
必ずしも「ブルー・ノート」「ブルーズ・スケール」を使用するとは限らず、ペンタトニック・スケールのみの「ご陽気ブルーズ」なんてものもある。
なお、上記12小節のうち、8小節目と9小節目の間に無理矢理4小節挿入して「16小節1コーラス」とした変態ブルーズも存在する(『Stolen Moments』)。作曲者のオリヴァー・ネルソン(Oliver Nelson)自身が変態かどうかは不明であるが、筆者もその辺りのことはあまり追究されたく……いや、その、したくはない。
【クラリネット(clarinet)】フローベール(Gustave Flaubert、1821年-1880年)の『紋切型辞典』(Dictionnaire des idees recues)を参照。
【眼鏡】視覚障碍者のための補助器具。映画『十二人の怒れる男(12 Angry Men)』(1957年、米)を参照。
【厚い】概ね「ミソソ」くらい(移動ド)。
【熱い、暑い】概ね「ミソミ」くらい(同上)。
【拝啓】概ね「ソミミミ」くらい(同上)。
【背景】概ね「ミソソソ」くらい(同(以下略))。
【エリック・ドルフィー(Eric Dolphy)】「音楽は聴き終われば虚空へと消え、二度と取り戻すことはできない」という言葉を「録音」した。その言葉のわりに「レコーディング」が多い、なんだかよくわからないプレイヤー。